職場では、しっかり者でいる。友だちといるときは、よく笑う。 家ではぐったりして、ほとんどしゃべらない。 相手によって自分がころころ変わる気がして、 「どれが本当の自分なんだろう」「自分というものがない気がする」と、 ふと心細くなる。そんな感覚を抱えていませんか。
「本当の自分」は、ひとつではない
まず、相手によって違う顔になるのは、嘘をついているからでも、 芯がないからでもありません。人はだれでも、場面ごとに違う面を出して生きています。 静かなあなたも、よく笑うあなたも、気を張っているあなたも、 どれも演技ではなく、ぜんぶ本物です。 「たったひとつの本当の自分」がどこかに隠れていて、 それを見つけ出さなければ──と思うほど、自分がわからなくなっていきます。
探すと見つからないのは、なぜか
「本当の自分」を一点に絞ろうとすると、必ずどこかがこぼれます。 人といたい気持ちと、ひとりになりたい気持ち。 挑戦したい自分と、安心していたい自分。 そういう相反する面を、「どちらが本当か」と決めようとするから、答えが出ない。 実際のあなたは、その両方を抱えた一人です。 矛盾を抱えていることは、欠陥ではなく、ふつうの人の厚みです。
「探す」のをやめて、「読む」に変える
見つからないものを探し続けるより、いまここにある自分を読んでみる。 そのほうが、ずっと手応えがあります。 自分を「◯◯タイプ」と一語で言い切る必要はありません。 白か黒かではなく濃淡で、 「人といたいけれど、ひとりの時間もいる」といった“けれど”ごと、 自分を一冊の本として読んでみる。 ひとつの正解を当てるのではなく、矛盾も含めた全体を眺めることが、 「本当の自分」を探すより、ずっと自分に近づく道です。
場面ごとの顔も、同じ一冊の章
職場のあなたも、家でのあなたも、別々の人ではなく、 一冊の本の違う章のようなものです。 章が違えば語り口も変わるけれど、貫いている主題は同じ。 その主題こそが、あなたらしさです。 タイプに当てはめようとして苦しくなった経験があるなら、こちらの記事も、きっと近い話です。
わからない、で立ち止まれたあなたへ
「本当の自分がわからない」と立ち止まれるのは、 自分をいいかげんに扱っていない証拠でもあります。 答えを焦って一つに決めなくていい。 まずは、いまの自分という一冊を、最初の頁から静かに読んでみませんか。 立ち止まって自分と向き合う時間については、こちらの記事でも書いています。