香水売り場に立つと、どれも良い香りに思えて、かえって何も選べなくなる。 人気ランキングの一本を買ってみても、いざ自分がつけると、なんだか少し違う気がする。 自分に似合う香りって、どうやって見つければいいのでしょう。
「似合う香り」は、「好きな香り」とは少し違う
まず切り分けたいのは、好きな香りと似合う香りは、 重なることもあれば、ずれることもある、ということです。 嗅いで「いい」と思う香りと、身にまとったときに自分の雰囲気となじむ香りは、別のもの。 試香紙ではうっとりしたのに、肌にのせるとちぐはぐに感じる—— あれは、香りそのものではなく、香りとあなたの気質が噛み合っていないだけです。
香りの系統には、気質の濃淡が映る
香りには、おおまかな系統があります。 シトラスやグリーンは、風通しのよい軽やかさ。フローラルは、やわらかさと華やぎ。 ウッディやムスクは、静けさと芯の落ち着き。フルーティは、人なつこい親しみ。 おもしろいのは、これが性格の濃淡と、どこかで響き合っていることです。
にぎやかさより静けさが心地よい人に、深いウッディがしっくりくる。 場をふわりとほどく人に、フローラルがなじむ。 ただし「あなたはこういう人だから、この香り」と一本に決めつける必要はありません。 人は一語で言い切れないように、香りも一系統に収まりきらない。 自分の中の濃淡——静かさと華やぎ、軽さと重み——に、香りの濃淡をそっと合わせていく。 そういう選び方のほうが、ずっと自分に近づきます。
タイプ分けで選ぶと、こぼれるもの
「◯◯タイプにはこの香り」と、型から一本を導く診断もよく見かけます。 入り口としてはよくできていますが、型に当てはめて決め切ってしまうと、 あなたの“あいだ”の部分——どっちつかずに見えて、実はいちばんあなたらしいところ——が、 こぼれ落ちてしまいます。 白か黒かではなく濃淡で。香りもまた、当たり外れで選ぶより、 自分の輪郭に添うかどうかで選ぶほうが、長く付き合えます。
香りは、あなたを綴る一行
香りは、目には見えないのに、その人の印象をしずかに決めています。 服や髪型と同じように、香りもまた、あなたという一冊に書き添えられる一行です。 うまく選べた香りは、「自分を良く見せる」ためではなく、 「もともとの自分を、少しだけ読みやすくする」ために働いてくれます。
自分の輪郭から、香りを選ぶ
だから、香りを探す前に、いちど自分の気質を眺めてみるのもひとつの手です。 自分はどんなときに心地よく、どんな場で静かになり、何にときめくのか。 それを採点ではなく文章として読み解くと、不思議と「こういう香りが添いそうだ」という輪郭が見えてきます。 忘れられた図書館の性格診断では、あなたという一冊に寄り添う香りを、結果のなかにそっと一行添えています。 自分に似合う一本を探す、その手がかりに。 似合う一冊の本の選び方についても、別に書いています。