香水売り場に立つと、どれも良い香りに思えて、かえって何も選べなくなる。 人気ランキングの一本を買ってみても、いざ自分がつけると、なんだか少し違う気がする。 自分に似合う香りって、どうやって見つければいいのでしょう。
「似合う香り」は、「好きな香り」とは少し違う
まず切り分けたいのは、好きな香りと似合う香りは、 重なることもあれば、ずれることもある、ということです。 嗅いで「いい」と思う香りと、身にまとったときに自分の雰囲気となじむ香りは、別のもの。 試香紙ではうっとりしたのに、肌にのせるとちぐはぐに感じる—— あれは、香りそのものではなく、香りとあなたの気質が噛み合っていないだけです。
香りの系統には、気質の濃淡が映る
香りには、おおまかな系統があります。 シトラスやグリーンは、風通しのよい軽やかさ。フローラルは、やわらかさと華やぎ。 ウッディやムスクは、静けさと芯の落ち着き。フルーティは、人なつこい親しみ。 おもしろいのは、これが性格の濃淡と、どこかで響き合っていることです。
シトラス・グリーン——レモンや若葉の、風の通る香り。 朝の空気が好きな人、物事を軽やかに始めたい人、距離を詰めすぎない心地よさを知っている人に添います。 初対面の印象をやわらかく整えたい日の一本にも。
フローラル——花々の、やわらかさと華やぎ。 場の空気をふわりとほどく人、感情の機微に気づく人へ。 甘さの濃度はさまざまで、一輪挿しのように淡いものから、花束のように満ちたものまであります。 自分の「華やぎの濃度」に合わせて選ぶのがコツです。
ウッディ・ムスク——木と肌の、静けさと芯。 にぎやかさより静けさが心地よい人、内側に落ち着きの軸がある人へ。 声を張らず佇まいで伝える香りなので、聞き役にまわることの多い人の輪郭によくなじみます。
フルーティ・グルマン——果実や甘いものの、人なつこい親しみ。 壁をつくらない人、誰かを笑わせるのが好きな人へ。 甘さは幼さではなく、近づきやすさの演出です。重くなりすぎない一本を選ぶと、大人の親しみになります。
にぎやかさより静けさが心地よい人に、深いウッディがしっくりくる。 場をふわりとほどく人に、フローラルがなじむ。 ただし「あなたはこういう人だから、この香り」と一本に決めつける必要はありません。 人は一語で言い切れないように、香りも一系統に収まりきらない。 自分の中の濃淡——静かさと華やぎ、軽さと重み——に、香りの濃淡をそっと合わせていく。 そういう選び方のほうが、ずっと自分に近づきます。
タイプ分けで選ぶと、こぼれるもの
「◯◯タイプにはこの香り」と、型から一本を導く診断もよく見かけます。 入り口としてはよくできていますが、型に当てはめて決め切ってしまうと、 あなたの“あいだ”の部分——どっちつかずに見えて、実はいちばんあなたらしいところ——が、 こぼれ落ちてしまいます。 白か黒かではなく濃淡で。香りもまた、当たり外れで選ぶより、 自分の輪郭に添うかどうかで選ぶほうが、長く付き合えます。
香りは、あなたを綴る一行
香りは、目には見えないのに、その人の印象をしずかに決めています。 服や髪型と同じように、香りもまた、あなたという一冊に書き添えられる一行です。 うまく選べた香りは、「自分を良く見せる」ためではなく、 「もともとの自分を、少しだけ読みやすくする」ために働いてくれます。
自分の輪郭から、香りを選ぶ
だから、香りを探す前に、いちど自分の気質を眺めてみるのもひとつの手です。 自分はどんなときに心地よく、どんな場で静かになり、何にときめくのか。 それを採点ではなく文章として読み解くと、不思議と「こういう香りが添いそうだ」という輪郭が見えてきます。 忘れられた図書館の性格診断では、あなたという一冊に寄り添う香りを、結果のなかにそっと一行添えています。 自分に似合う一本を探す、その手がかりに。 似合う一冊の本の選び方についても、別に書いています。
よくある質問
性格から、似合う香水を診断できますか?
できます。忘れられた図書館の性格診断(無料・全60問・約8分)では、9つの軸をどちらか一方に寄せず濃淡のまま読み、結果のなかであなたに寄り添う香りを言葉で添えます。タイプに当てはめて一本を断定する形式ではありません。
自分に似合う香水がわからないときは、どう選べばいいですか?
好きな香りではなく「自分の気質になじむ香り」から考えるのがひとつの道です。静けさが心地よいならウッディやムスク、場をやわらげるのが得意ならフローラル、軽やかに始めたいならシトラス——と、自分の濃淡に系統の濃淡を合わせていきます。
香りの系統は、ひとつに決めたほうがいいですか?
いいえ。人がひとつのタイプに収まらないように、似合う香りも一系統に決める必要はありません。平日はシトラス、静かな夜はウッディのように、自分の中の濃淡に合わせて使い分けるほうが自然です。